第16章 本当の気持ち
軽く3回ノックした後、部屋の中から低めの声が聞こえてきた。
『だれ』
『あ、あの、、私です。さっきはその、、』
私がもごもごと言葉を濁しながら話すと、それに見兼ねたのか、ユウさんがドアを開けてくれた。
中から現れたユウさんは、本を読んでいたのか黒縁メガネ姿だった。
私はなにも言わず、導かれるまま部屋へと入った。
『そこに座れ』
そう言われ、いつだかも座ったベッドの上に腰を沈めると、私の右隣にユウさんも腰を下ろした。
『んで?なんか俺に言いたいことあんの?』
『あ、あの、、さっきはごめんなさい!私が鍵をかけ忘れたばかりに、お見苦しいもの見せてしまって、、』
『あぁ、別にいいけど。俺も確認しなかったの悪いから』
意外にもあっさりとした返事に、私の緊張も少し解けてきた。
私がホッと胸を撫で下ろすのを見て、ユウさんは意地の悪そうな笑みを浮かべた。
『で?話はそれだけか?』
『え?』
なんとなくユウさんの言いたいことは分かるけど、なんて言葉に出したらいいのか分からない。
『てっきり、昨日のこと謝りに来たのかと思ったけど』
そういい、いたずらっ子のような表情をしながら、俯く私の顔を覗き込む。
『えーっと、、き、昨日は、失礼なことを言って、、すみませんでした』
自分でも自分の声が耳に入ってこないくらいの声。
謝ることくらい簡単なはずなのに、、。
ユウさんの目を見てると吸い込まれそうで、顔を上げることもできない。