第15章 夏らしいコト
シュンと別れ、自分の部屋へと戻ってきた。
真っ暗な部屋の床を、夜空の月の光が窓から照らしている。
『はぁ、、、』
特に疲れたわけでもないのに、なぜか出てしまうため息。
すると、、
『ため息ついたら幸せ逃げるぞ』
聞き覚えのある低音ボイスが後ろから聞こえ、ふと振り返ると、そこにはユウさんの姿があった。
『え、いつのまに?!』
私、部屋のドア閉めてなかったっけ、、?
『ノックはちゃんとしたけど』
『あ、すみません、聞こえてませんでした』
『悩み事か?』
悩み事がないというと嘘になるけど、これといって悩んでいるわけではないと思う。
それにしてもユウさんがこんなに優しいなんてどうしたんだろう。
『ユウさんなんか優しいですね』
『誰かさんが、さっき外で抱きしめられて顔赤くしてんじゃないかなーって様子見にきただけ』
『?!?!』
ユウさんの発言に、すかさず目を見開き顔を上げる。
え、さっきのまさか見られてたの??
『えーーっと、、あの、、』
『なに動揺してんだよ、お前シュンに抱きしめられてたじゃん』
『は、はい、そうですけど』
『お前さ、誰にでもしっぽ振って行かない方がいいよ』
『それってどういう、意味、、』
少しきつい言い方、、。そんなこと言わなくても、、。
私は誰にでもしっぽ振ってるつもりなんてないのに。
『嫌なもんは嫌だって断らないと、男ってのはすぐつけあがる生き物なんだから。今後誰になにされるかわからんのに、全部受け身でいたら痛い目見るぞ』
『、、、そんな、、さっきのは別に嫌だなんて思わなかったし、シュンだってストレス溜まってるだろうし、私で癒されるならそれでいいって思っただけ、、。私がここまでユウさんに言われる必要ある??!』
なぜか私の全てを批判されているような気がして、溢れ出る涙を堪えながらユウさんを見上げる。
でも少し言い過ぎちゃったかな、、。
『好きにしろ』
そう言い残し、ユウさんは部屋を出ていった。