第15章 夏らしいコト
『何言ってるの??付き合ってるわけないじゃん!』
『付き合ってないやつに、キスマークなんてつけるか?、、、、いや、つけるよな。』
アラタは最初は強気だったが、言葉を発してから宙を仰ぐ様に何かを考え、自分の言った言葉をすぐに訂正した。
『キスマークはつけるわ』
『そんな堂々と言わないでくれる??』
キスマークつけるつけるって普通に言ってるけど、私にとってはハンパなく恥ずかしいことなんだから、 、。
『俺だってあの時つけたもん』
『あの時???』
え、あの時っていつだろ。
何回か襲われた経験はあるけど、わかんない、、。
『ほら、トイレで』
私は、そのワードだけ聞いても何のことだか全然思い出せなかった。
眉間にしわを寄せて、記憶の中から探し出そうとしたが、キスマークなんてつけられた記憶はない。
『覚えてない?あーーー、あん時お前酔ってたもんな。ライブの後の打ち上げん時だよ』
あ、、、、思い出した。
そうだ!私が酔ってトイレに行こうとして、ついてきてくれた時だ。
でもあの時にキスマークつけられてたなんて知らなかった。
『そうそう、あん時ユウに色々言われたからね俺』
『え?ユウさんに??』
『お前ら一緒にタクシー乗って帰ってきたじゃん。その後よその後。家に着いてから呼び出しくらってさ、トイレでれいな襲っただろって。たぶんだけど、タクシー乗った時に、お前の首のとこのキスマークに気づいたんじゃないかなーって思ってる』
、、、そういえば、あの時タクシーの中で、アラタに襲われてないかって聞かれた記憶が何となく残ってる。
ユウさん、気づいてたんだ、、。
そう考えると色々つじつまが合う気がする。
あの時、あんなに席が離れてたアオコちゃんが、私の様子をわざわざトイレまで見にきてくれたのも、きっと横にいたユウさんのおかげだ、、。