第12章 レイシスデビュー
『え?アラタ??オレンジでいいの?』
『うん!僕オレンジでいいよ!』
あ、そうですか、、。アラタに言われるがままに、店員さんにオレンジを頼む。
『なんで今日は呑まないの?』
みんなには聞こえないくらいの小声でアラタに質問する。
『カケルに外では呑むなって言われてるから』
なるほどね、、、。
お酒呑んだら普段のアラタが1ミリもいなくなっちゃうもんねぇ、、。
すると
『お前今日は呑むなよ』
と、斜め前のレンさんが急に言ってきた。
レンさんがそう言いたくなるのもわかる。
あれはトラウマになるよね。私だってもうお酒呑めないよ。
自分があんな風になっちゃうなんて、思い出したくもないもん。
『れいなが変わっちゃうのもっかい見たいなぁ』
私の耳元で、小悪魔が囁く。
私は敵意を含むような目で、アラタを軽く睨みつける。
二重人格はこれだから怖い。
すると、左隣のカケルさんが話しかけてきた。
『今日はアラタ大人しいと思うから大丈夫だよ!』
と、曇りない笑顔をみせた。
カケルさんごめんなさい、お酒が入ってなくとも十分小悪魔が出ちゃってます。