第1章 ー転入ー
私、見町愛那(みまちあいな)は2年生の春、この桜ヶ丘高等学校へ転入することになった。
ここで普通の女子高生なら、≪ドキドキワクワクな高校生活に胸を膨らませ…≫というところなのだろうが、愛那は少し他の女の子とちがうところがあった。
それは“男が苦手”ということだった。愛那は美人であったため昔からよくもてていた。一目ぼれをされたっこもあった。顔が可愛いから好きという男が許せなかった。それ以来ずっと、愛那は男が苦手なのだ。
この桜ヶ丘学園は、元々男子校だったため、女子に比べて男子は約3倍多かった。それが嫌でお父さんに交渉したが、ここしか入るところがないと言われ、仕方なくやってきたのだった。
桜ヶ丘学園は、全寮制であるため、親元を離れて暮らさなければならない。そのことは、愛那にとってはなんともないことだが、寮は男子女子とも同じ屋根の下。これがたまらない。
「はあ…。憂鬱だ…。」
そんなことを思いながら、重い足取りで大きな荷物を持って職員室へと向かった。