第6章 【烏野三年トリオ】ハッピーバレンタイン
そして、今日一日中、いろんな人から文字が書かれたチョコを受け取った。
移動教室から戻った時に私の机の上に置いてあったりした。
放課後までにはたくさんのチョコが集まり、私は一つの文章になるように並べ替える。
「今 日 の 1 7 時 に 部 室 へ 」
出来上がった文章は部室への呼び出しだった。
私はその時間まで時間をつぶして、バレー部に部室に向かった。
コンコン
部室のドアをノックするけど、もちろん返事はない。
だって、部活中だから後輩たちは体育館なんだもん。
そっとドアノブを回し、手前に引き寄せるとゆっくりとドアが開いた。
「戸締りしてないじゃない。もう・・不用心なんだから・・」
私は久しぶりの部室に少しソワソワしながら、ぐっと扉を大きく開けた。
「なに・・?これ・・」
部室にはキレイな装飾と、沢山のお菓子が飾られていた。
部室内に入り、ホワイトボードの前に立つと、
『ハッピーバレンタイン☆
佐藤、いつもありがとう!』と書かれていた。
「作戦成功だべ?俺の作戦通りっ!」
声がする扉の方を見ると、そこには菅原がいた。
「わざわざ一文字ずつ伝えなくてもよかったんじゃないのか?」
そして、その後ろから澤村と東峰が顔を出した。
「それじゃぁ、つまんないだろ。なんか暗号みたいでワクワクしたべ?」
そう言って菅原はニカっと笑った。
「逆チョコなんだけど・・どっ、どうかな?」
東峰が少し照れたように頬を掻きながら笑うと、澤村も眉を下げて笑う。
「もしかして、この時間を指定したのはこの準備のためだったの?」
「そうそう。西谷達の邪魔にならないように、部活始まってから準備したからこの時間に・・」
間に合わないかと思って焦ったよな。なんて三人は笑い合っている。
だから今年はバレンタインのチョコはいらないって言ったんだ。
「ふふふ。・・アハハハハ!」
私は部室いっぱいに飾られたお菓子を一つ一つ見て回った。
「みんな、ありがとう!・・すっごく嬉しい!」
私がそう笑うと、3人もニッと笑った。
「でも、こんなに沢山食べられないから、部活終わるまで待ってみんなで食べようよ!」
「それいいなっ!」
私達は部室の中で1年の時からの思い出話なんかをして過ごした。