第6章 【烏野三年トリオ】ハッピーバレンタイン
2月14日 バレンタインデー。
受験を終えた私達はどこか浮き足立っていて、思う存分高校生活を満喫していた。
「おはよう、ひろか!」
「おはよう!」
教室に入り、友人達と挨拶を交わす。
「はい。ひろかに友チョコ!」
そして、クラスメイト数人からチョコレートを受け取る。
私は毎年、友チョコのお返しはホワイトデーに渡すことにしていた。
なので、今年のバレンタインデーは何も作らなかった。
「あれ?澤村達にはあげないの?毎年あげてたじゃん?」
「あぁ・・なんか、断られた」
「・・はっ!?」
そう。私は毎年マネージャーをやっていたバレー部の同じ学年の3人だけにチョコレートを渡していた。
しかし、数週間前になぜか今年はバレンタインの用意、気を遣わなくていいから。と断られてしまった。彼女でも出来たのかな?なんて思ってはみたけど、そんな素振りもないし。
あげる前から断られるって少し寂しい気がする。
私は席について、教科書を机の中にしまおうとすると、机の中に何か入っているのに気付いた。
一つのチロルチョコ。
チョコの包み紙の上にシールが張られていて『今』の文字が書かれていた。
「なにこれ」
何かのイタズラ?私は教室中をキョロキョロさせるけど、誰の仕業か分からなかった。
「おぉい、佐藤!これ、お前に渡してくれって!」
クラスメイトの一人からまた一つのチロルチョコ。
今度は『7』の文字。
「・・ねぇ、これ誰から?」
「さぁな!」
そう言ってクラスメイトはウインクをして去って行った。