第6章 榊宮の姉と松岡の妹
日課である夜のランニングを終えて凛は汐とメールをしながら部屋で寛いでいた。
メールを打ちながら画面を眺めていると、画面に着信表示が出た。
「江から電話…?」
通話ボタンを押して応答する。
なにかあったのかと思いながら出ると、江の元気な声が聞こえてきた。
『もしもしお兄ちゃんー!?』
「おう。江どうした?」
明るい声音に、一先ず安心する。
用件はなんだろうか。
『今日ね!お兄ちゃんの彼女さんと会って話したの!』
「は?」
汐と会った、ということだろうか。
隠していた訳ではないが、江に汐の存在が知れてしまいなんだか照れくさい気分になる。
『初対面だったけど、汐ちゃんすっごく優しくて可愛かった!いつから付き合ってるのー?』
「2ヶ月くらい前から」
江の話を聞いている限り、出会ってすぐに打ち解けたことが窺える。
ふたりとも性格があっさりさっぱりしてるから、きっと波長が合うのだろう。
『連絡先も交換しちゃった!私、お姉ちゃんができた気分…!』
「そうか。…汐は面倒見いいし面白くて良い奴だから仲良くしてやってくれ」
「もちろん!」
電話越しに聞こえる江の弾んだ声に凛まで嬉しくなる。
江と汐が仲良くしている姿を想像したら、思わず凛は江と話しながら頬が緩んでしまった。