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Affectionate Photographs

第3章 凛と汐のとある休日




時計の針は10:20をさしていた。
凛は腕時計から目を離すとぐるりとあたりを見渡す。
土曜の午前、駅の改札付近は大勢の人で溢れている。
9月中旬。暑さが残り駅構内は外気の熱と人の熱で蒸し暑い。


(汐のやつ早く来ねぇかな...)

どうもそわそわして落ち着かない。
もうすぐ10:30。待ち合わせの時間だ。
今日は凛と汐の部活のオフが重なったということで、駅前のショッピングモールで映画を見に行こうという話になった。


凛は起きてから今までの一連の行動を思い起こす。

朝のランニングをこなしてからシャワーを浴びて朝食を摂る。
ここまではいつも通りだった。

部屋に戻るなり凛は真剣に考え事を始めた。
お互いが私服でのデートは初めてだ。何を着ていこうか。
この前汐の家に行ったときに初めて汐の私服を見たが、女の子らしくて可愛かった。

しばらく悩んだあと、今度はヘアワックスを取り出した。
クラスメートがトイレでワックスを使って髪の毛を盛っていた様子を思い出す。
男子しかいないのにかっこつけてどうすんだ、とその時は思ったが今になってなんとなくかっこつけたい気持ちも分かる気がする。

支度をしているとあっという間に凛が寮を出ようとしていた時間になってしまった。
スタイリングに合わせて選んだ靴を履いて寮を出た。
携帯電話を開くと汐からメールが来ていた。
メールを開封すると、このような文章が送られてきていた。

〝凛くんおはよう
今日はデートだね、あたし今日すごく楽しみにしてたんだよねー!
10:30に駅の改札口の近くで待ち合わせだったよね?〟

ところどころに可愛らしいデコメがついていて女の子らしさを感じた。
汐からのメールに返信しつつ、今日はどんな恰好をしてくるだろうかと期待を抱きながら駅まで向かった。


今日の凛は汐との初デートということもあって服装にはかなり気を配っていた。
黒い五分丈のインナーに臙脂色のVネックのTシャツを重ねたトップス。
ボトムはベージュのスキニーパンツ。
足元は白と黒のキャンパススニーカーでまとめている。
シンプルなアクセサリーや腕時計でアクセントをつけた、綺麗めカジュアルなコーディネートだった。
もともとレイヤーの入った髪の毛もワックスを使って毛先を少しあそばせている。

身長が高いのも相まってあまり高校生には見えない風貌だった。
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