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短編集【リオン・マグナス】

第1章 着火


美しい景色が見える、少し高い草原でバンエルティア号を待ちながら、あたしは最近疑問に思ってた事をリオンにぶつけた。

「どうした?急に」

「いやー、あたしがやってる事って、ただのエゴじゃねーのかなぁって思ってさー。元々神の仕事は、思っている事を現実化する事だし」

神は、ただ人間の思考を現実化するだけ。
本人が願おうが願うまいが、思ってる状態を、そのまま現実にする。

だがあたしは、神でもある以前に、人間だ。
誰かが苦しいなら、助けてやりたくなるし、悲しむ前に救いたくなる。

でも、それは本人の思考に反する。
『苦しいと思っている』なら、『苦しいと思っている状態』を与えなければならない。

神とは、そんなものなのだ。

本人の魂が望んでいる事は、試練を乗り越える事かもしれない。
本人の心が、苦しいと思っていても。
じゃあ、あたしのしている事は?
ただの、「助けてやりたい」とか、そういった人間に対する過保護なエゴじゃないのか?






あたしがしたいと思っている事が、逆に、誰かを傷付けていないか?
そう、思った。












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