第13章 灰崎祥吾編
―私は二人の試合を見守った。
涼太くんは、最後に祥吾くんに気持ちで勝った。
私はほっとした。
涼太くんが壊されずに済んだ事。
そして、祥吾くんに打ち勝った事。
私は涼太くんにお礼を言った。
そのとき、嫌な予感がした。
祥吾くんが居なくなっていた。
―私が外まで駆けて行くと、帝光中学校時代の部活仲間だった青峰大輝と、倒れている祥吾くんを見た。
大輝くんは後は頼んだと私に肩を叩いて、行った。
私は涙が止まらなかった。
自分の想いで祥吾くんが止めれなかった悔しさがあって。
私の涙が、祥吾くんの額に落ちると祥吾くんが目を覚ました。
「アリサ……」
私は膝枕していた祥吾くんを抱き締めた。
そして、私は言った。
もう、自分を汚すような真似はしないで!!
……祥吾くんには私がいるから。
「…………」
祥吾くんは黙ったままだった。
私は祥吾くんがほっておけないし、色んな彼女と付き合っていたとしても、好きだから。
私は泣きながら言った。
「俺にはまだ、俺をちゃんと見てくれるやつがいたんだな。」
祥吾くんは私を見た。
もう悪い事をしようと考えてない顔だった。
「ただの幼なじみじゃねぇって、漸く分かったぜ。」
暫く間をあけて祥吾くんは言った。
「アリサは俺の後を追いかける馬鹿な奴だと思ってたよ。」
祥吾くんはひそかに笑った。
「アリサ、ごめんな。」
頭を掴まれ、私はされるがままになった。
祥吾くんの顔が、私の顔に近くなった時に言った。
「ありがとな、アリサ。
俺の事を理解してくれてよ。」
私は素直になった祥吾くんを見て嬉しかった。
次第に顔が近くなると……
チュッ
私は祥吾くんにキスをした。
好きだよ、祥吾くん。
私は祥吾くんに想いを伝えた。
「俺も。」
私は久々に素直になった祥吾くんを見て、涙が止まらなくなった。
―その後、祥吾くんから、彼女になってくれと告白された。