第3章 合宿へいこう!
「合宿ぅ!?」
荒木監督の突然の提案はこうだ。
陽泉バスケ部で合宿をしないか。
もちろんあたしも行くことになるけれど、かまわないよな。
……拒否権はどうもないようだ。
シャンと背筋を伸ばし、きりっとした顔で荒木監督は「もちろん部屋はあたしと一緒だ。ほかのマネージャーは今回はなしだ」と言い出した。
ならあたしもなしでよくないですか!? と言おうとしたとき。
「紫原がいるだろう」
「……ですよねぇ」
世話係ですもんね、あたし……。
「そう言えばあいつの病気はいつ治るんだ?」
「え?」
「恋人ができれば、それで欲求も収まるんじゃなかったのか?」
そう言えば、そんなこと言ってたような。
「……さあ?」
付き合えばオッケーってわけじゃなく、両想い前提の話なんだろうなあ。
あたしは最近紫原が気になるけど、彼はそうでもないだろうし。
「さあ、ってなあ」
「わかるなら治してます」
「紫原に訊いてくる」
そう言って、荒木監督は紫原の元へ向かって……竹刀の音を響かせ帰ってきた。
顔は真っ赤だ。
「……治らなくていい」
「は?」
「当分治らなくていい」
「……はあ」
大変ご立腹の荒木監督に、何も言えるわけもない。
よくわかんないけど、あたしも後で紫原に訊いてみるか。