第9章 神さまの目にも涙
「……やっと、君を……っ
愛してるって……!僕には、
君しか居ないんだよ……!」
紗英の身体が
光に包まれて
次第に、見えなくなっていく。
「……っ……紗英」
白澤は涙でかすむ視界に
幾度もその手で愛した
紗英の姿を収めて、
最期の言葉を贈った。
「僕、待ってるから……!
たとえ君が僕を忘れようが
何処に生まれ変わろうが。
僕は……何度だって君を、
………愛してるよ。紗英」
紗英はまるで白澤の言葉が
終わるのを待っていたかの様に
彼の愛を聞き終えると
眩い光の中に溶けていく。
天に昇っていく彼女は、
その愛を、
自分を愛してくれた神の愛を
胸に抱いて地獄を去った。