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(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第8章 【団栗ころころ】



ああ、いやだな。

僕はなんだってこんな──
昔のことなんか思い出したって
何もいいことなんてないのに。

カツン
「……?」

音の鳴るほうへ振り向く。

なにも、ない。
いつもと何ら変わらない
薬棚がそこにあるだけ。

カツッ コツン
「あーもう、何だっていうんだよ」

どこからか聞こえてくる
なんとなく聞き覚えのある音

引き寄せられるようにして
立ち上がって、ずるりと
君との繋がりを抜き取った。

カツ、コツッ コツンッ
音はまだ鳴り止みそうにない。

天板から吊るした薬棚を
ごそごそと漁ってみる。

紗英を失ってから一層
怠惰になった僕に代わって

薬草なんかの管理は
桃タローくんがしてくれてる。

そんな訳で意外にも
棚は綺麗に片付いてるものだから
探していた物はすぐに見つかった。
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