第8章 【団栗ころころ】
こうして君とお茶を
飲むのは何年振りだろう。
途方もなく長い時間を
生きてきたはずなのに
随分と昔のことに感じるよ。
「ね、それ美味しい?
薺ちゃんのためにね
特別に用意したんだ」
カウンターに肘をつく
僕を見上げる君は、
なんともバツが悪そうだ。
なにもそんな顔
しなくたっていいのに。
「おいしい、です……」
「そ。それはよかった」
「……あの、白澤様」
彼女に出す砂糖菓子を
用意しながら「んー?」
視線は向けずに答えた。
君が何を言いたのか
わかってるけどね。
顔を見て上手に
ウソをつく
自信がなかったから。
「なぜ、私をここに……その
招いてくださったのかな、と」
ほら。やっぱりその質問だ。