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(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第7章 【パンチヒーロー】後編



ライターの炎は地獄へと
続く常世の入り口だった。

どこぞの猫型ロボ顔負けの
不思議な道具は、鬼灯様の
幼馴染みが作ったものらしい。

ヒトひとりが充分に潜れる
大きさに燃え広がった火の中を、

鬼灯様に手を引かれて歩く。

「あ、お母さん。今日ね、
友達の家遊びに行ってくる。
うん……うん、迷惑かけない」

親御さんにはちゃんと
連絡しておきなさいよ。

鬼灯様にそう諭されて
母に電話すると、案外すぐに
お許しがもらえてホッとした。

行き先が地獄だって知ったら、
お母さんきっと三日は寝込むな。

などと考えていた時だ。

突然周囲の温度が上がって
ほのかな鉄の臭いが
鼻腔に浸蝕してくる。

ああ、帰ってきた。

「……ただいま」

無意識にそう呟いた私に
鬼灯様は、少し面食らって

「──おかえりなさい」

嬉しそうに目元を綻ばせた。
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