第11章 終わりのはじまり
ガコ、と音を立てて
船が揺れたのはそれから
すぐのことだった。
「……着いたようですね」
言葉とともに立ち上がる
鬼灯様は、私を抱く腕に
いっそう力を篭める。
「よし……行こう」
覚悟を決めた白澤様は
毅然とした声音で言って、
眼前の光景を見つめた。
鼻水でてるけど。
「薺」
苔むす岸辺に降りようと
船の淵に足をかけると、
鬼灯様の声で
名を呼ばれた。
「おいで」
差し出された手を握って
指をしっかり絡ませる。
二度と離れてしまわないように
この温もりを失わないように──
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.
「あ、あの……えっと
僕も、手繋いでいい?」
「……チッ、ほらよ」
「鬼灯(おまえ)じゃねえよ!!!」
【十壱ノ章】
終わりのはじまり___終