第3章 【今日も日陰で花は咲く】
鬼と神獣の襲来から数時間が経った。
日本の片隅にある、
とある高校である。
日の当たらぬ校舎裏
人の出払った放課後
塗装の剥がれた壁にもたれて、
薺は恋人と唇を重ねていた。
「んっ……駄目だよ。
こんな所でしたら
誰かに見られちゃう」
コンクリートの隙間に咲く
雑草が彼女を見ている。
物言わぬ雑草は、
(またお前達か)
そう言いたげに風に揺られた。
「いいじゃん……しようよ。
この間だってバレなかったし」
欲に塗れた男の声が響く。
薺の恋人である少年は、
股間に出来上がった膨らみを
彼女に押し付けて身震いした。