第12章 お気に入りの場所【一角/N】
ーペチンッー
もう片手で一角の頭を引っ張たいた私。
「……てぇな」
『もう、誘ってないから止めて頂戴な……こんな所で』
「チッ、その気だったのによ……」
機嫌悪く残念そうにそっぽを向いてしまった一角に、私はそっと耳元に唇を近付ける。
『その変わり……今夜は一緒にお風呂入らない?』
「!?……ふ、風呂?……お前、俺と入るの嫌がるだろ?」
『明日は久しぶりに、二人揃ってお非番だし……美味しいお酒も用意するから、ね?』
確かに、一角は熱いお湯で烏の行水派、私は少し温めのお湯で長風呂派なので、一緒に入る事は滅多にない。
以前お風呂でして私が逆上せた事があるので、その場所ではあまりしたくはないけど、一角が喜んでくれるなら良いかな。
「我慢してやるよ、その変わり夜は覚悟しとけよ?寝かせねぇからな」
『ふふ、元気で困っちゃうわね……少しは手加減して頂戴な』
「無理だな……ほら、さっさと耳掻きしろよ。悠鬼の喘ぎ声、たっぷり聞いてやるから」
『もう!一角ったら……』
その為に耳掻きをしようとした訳ではないので、一角の最後の言葉で少し躊躇ってしまう。
困惑した様に笑みを浮かべると、ちょっと反抗してやろうと耳朶を触りまくる私。
その時の一角は耳を真っ赤にしながら、私の反抗に耐え続けた。
『やぁ!……一角、もう許してぇ』
「まだ五回しか出してねぇだろ?……後布団に行ってから五回は出来る……いや、もっと出来るか?」
『っ!?……もう!明日立てなくなっちゃ……ぁあ!』
「あぁ、明日はいくら寝てても良いぜ?……非番なんだからな」
『こんなに激しくされたら……っ……腰壊れちゃうぅん!』
「悠鬼から誘ったんだ、俺に抱かれたらどうなるか知ってんだろ?」
『……っ……』
「正直に言えよ?……もっと俺に抱かれたいって、オラ!」
『いやぁあ!……い、一角にもっと抱かれたいのぉ!もっと激しくしてぇ!』
私はとことん一角に弱いの。
惚れた弱味なのか、押されたら強く抵抗出来ない程に。
酷くされても拒めない、だって彼が私を愛してくれているのが、一緒にいてとても伝わって来るから。
貴方がいるだけで、そこは私のお気に入りの場所になるの。
Fin.