第8章 任侠一家:更木組【剣八/N】
「……くっ……もう、出るッ」
『私も……イッ……ぁあん!』
私のナカに剣八さんの熱い欲が注がれる。
その度に思い知らされる。
『……剣八さん』
私は彼の腕の中で意識を失った。
剣八さんが優しく抱き締めてくれた温もりが伝わった瞬間だった。
私が目を覚ました時にはもう陽が落ちて居り、部屋の中は薄暗かった。
隣には剣八さんが私服のまま眠っているのが分かり、助けてくれた後自宅の寝室まで運んでくれた事が理解出来た。
『……剣八さんっ』
「何で泣きそうな顔してんだよ」
『あっ……ごめんなさっ』
「謝るな、良いから話して見ろよ……俺が気付いてねぇと思ってんのか?最近、抱く度に辛そうな顔見せやがって……」
『……剣八さん……』
私の頬を撫でる貴方の手が優しくて、目尻からはどんどん涙が溢れて来る。
このままでは彼の為にならない。
そう決意した私は、ぎゅっと自分の胸を押さえて小さく口を開く。
『剣八さん、私と離婚して下さい』
「!?……っ……悠鬼」
『私には剣八さんの赤ちゃん……産めません』
「俺はお前が居ればガキなんか要らねェって言ってるだろ!」
『それじゃ組の為になりません!剣八さんの代で終わらせちゃダメです!……私達が結婚してからもう五年になりますっ……不妊治療しても全然成果はありませんし……』
「……っ……俺は悠鬼以外の女を……女房にする気はねぇ」
『私は剣八さんの赤ちゃんが欲しいです……けど私は剣八さんがくれる愛情を形に出来ませんッ……ごめんなさい』
泣き崩れる私を剣八さんは、ずっと抱き締めてくれていた。
愛しているからこそ、私がこの人を縛ってはいけない。
愛しているからこそ、ちゃんと跡継ぎを産める方と一緒になって欲しい。
この家は貴方と過ごした、私の大好きな場所だから。
「分かった、明日もう一度病院に行くぞ……それで本当にダメなら……考える」
『はい、ありがとうございます……剣八さん』
「悠鬼、忘れるな。もし別れる結果になっても……俺が惚れてるのは、悠鬼だけだ……ずっとな」
『……っ……はい、私も剣八さんだけです……愛しています』
そして剣八さんは少し震える手で私の頬に触れ、優しい口付けをくれました。