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淡い恋心

第1章 愛情表現【跡部/N】



私が目を覚ました時、外は夕方になっていた。
授業をサボって、こんな事をしているのも少なくない。

私に腕枕をして寝ている景吾を見上げる。
そして下半身に異物感を感じれば、終わった後も挿れたままなのに気付いて溜め息を零してしまう。

『景吾の愛情表現は痛いなぁ……私も負けないし』

そう小さく呟くと、そっと景吾の背中を抱き締めて首筋に顔を埋める。

私の躰中にある、無数の愛の証。
それが疼くのを感じ、その痛みを景吾にも与えようと口を開け首筋・鎖骨・胸板と上半身にだけ付けて行く。
ただし、私の場合は見えない箇所だけ。

「擽ってぇな……あんましてると、またヤるぞ?」

『起きてたの?』

「起こされた……悠鬼に抱き締められた時にな。お前も大胆だなァ」

景吾の手が私の頬に触れる。

『他の人に見せたらダメだよ?』

「アーン?それは見せる為に付けてんだろ?」

『違うよ!景吾にわ、悪い虫が付かない様に……』

「んじゃ尚更見せびらかさなきゃな。お前も」

『な!?、やっぱ消しっ……?』

不意に私の左手の薬指に感じた異物感。
包むように握られていた景吾の手から離れ、私の目にキラリと映るそれは可愛らしいハート型の指輪だった。

「まだ結婚は出来ねぇからな、いつかの約束だ」

『……景吾』

「俺はいつか必ず悠鬼を花嫁にする」

『何その言い方……景吾らしい……っ……』

「お前には拒否権も決定権もねぇ。俺の女になった時点で決まってるんだよ」

『本当、ムカつく……でも……愛してる、景吾っ……』

出逢った時から貴方の言動に怒って、悩まされて何度も喧嘩した。
他の女の子の様に私は絶対に景吾を好きにはならないと思っていたのに、結局は貴方に溺れてしまった。

ムカつくくらい愛しい。

私は貴方のくれる愛情の分だけちゃんと返して行けるのか不安だけど、この温もりだけは失いたくないなぁ…



Fin.
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