第8章 任侠一家:更木組【剣八/N】
着物で隠せるところは見えなかったが、ノイトラさんの顔で思い出した。
私の躰中には剣八さんが付け続けた紅い痕が、至るところに散りばめられていた事を。
羞恥心でいっぱいの私は、顔を真っ赤に染めてノイトラさんから反らしてしまう。
『やぁ~……剣八さんったらッ』
「クソっ……あの野郎ォ……」
恥ずかしいけど、ちょっと嬉しくなってしまう私。
自分の女だと、躰中に主張する旦那様が愛しくて堪らない。
それを見たノイトラさんは私にまた手を伸ばして来るが、その手は別の方に掴まれてしまう。
ノイトラさんの背後には、この痕を付けた張本人の姿があった。
「てめぇ、俺の女に手ぇ出しやがって……覚悟は出来てんだろうな?」
「更木、剣八っ……それはオレの台詞だァ!」
剣八さんの拳がノイトラさんの頬に当たり、吹っ飛ばされるものの、直ぐに起き上がって剣八さんに向かって行く。
剣八さんは人の攻撃を避ける方ではないので、真っ正面から受け止めて殴り返す。
無茶な戦い方をするので、私は心配で目が離せません。
ノイトラさん自身は、剣八さんと互角な実力者。
私は何も出来ないまま、その戦いの行方を見ていた。
「チッ……覚えてろよ!次はてめェの首、奪いに行くからなァ!」
「二度とコイツに近付くんじゃねぇよ」
漸く決着がつき二人共に怪我しているが、勝ったのは剣八さん。
ノイトラさんが出て行って私に目を向けた剣八さんは、近付いて来て首筋に顔を埋める。
『あっ……やぁ……そんな目立つとこっ』
「良いんだよ、お前が俺の言う事聞かねぇからな……二度と家から出られない様にしてやる」
『ご、ごめんなさい!……ぁっ……もう一人でっ……出掛けませんからぁ……あぁん!』
「躰に教え込まねェと、許せねぇな……そんな格好して誘いやがって」
剣八さんの唇は私の首筋や鎖骨を這い、着物では隠せないところも大胆に痕を付けて行く。
そして今まで付けた痕達も、消えない様にと強く吸い上げてまた真っ赤な花を咲かせる。