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淡い恋心

第8章 任侠一家:更木組【剣八/N】



任侠一家 【更木組】
十一代目 更木剣八を筆頭に、空座町で最も勢力も権力もある家柄。

『行って来ます』

「おい、一人で出掛けんじゃねぇって……何度言ったら分かんだ?悠鬼」

『剣八さん、大丈夫ですよ!近くの商店街にお買い物に行くだけですから!』

「お前、自分がどういう立場か分かって……」

『分かってます!……けどお買い物くらい一人で行かせて下さいな』

「出来る訳ねぇだろっ……」

『過度の束縛は嫌いになっちゃいますよ?……剣八さんの事っ』

「……っ……」

私は恋愛結婚をして剣八さんの妻になり、毎日とても幸せな生活を送っています。
ですが剣八さん自身命を狙われている身なので、彼は私に対してとても過保護です。
私も狙われる可能性があるから。

大切にして下さっているのは痛い程分かります。
けどその愛情を形にしてあげる事が私には出来ません。

「ママぁ~!あれ買って!」

「ダーメ!ご飯食べられなくなっちゃうでしょ?」

丁度お夕飯のお買い物をしている頃、毎日親子連れや帰宅時の小学生達を見掛ける。
その度に私は胸が裂けそうになる程、心苦しくて悲しくなってしまう。

『……剣八さんっ』

「やっぱてめェ、更木剣八の女だなァ?」

『!?……貴方はっ……』

背後から声を掛けて来た方は、更木組の次に勢力のあるノイトラ組の若頭 ノイトラ・ジルガ。
極道の中でも色んな組から命を狙われている剣八さんは、特にノイトラさんには目の敵にされている。

彼の剣八さん並の長身は、私を見下ろすなり上から下までニヤニヤ見つめている。

「最初に見た時から思っていたが、やっぱ良い女だなァ……アイツの女にすんのは勿体ねェ」

『は、離して下さい!私をどうするっ』

「良いから黙って付いて来いよ!……オレはアイツ程、女に優しくねェからな」

ノイトラさんは男の方にしては細い腕だが、私の手首を力強く掴み苛々した様に怒鳴ると、白い高級車へ無理矢理乗せる。
彼が剣八さんに憎しみと殺意を抱いているのは、私でも十分知っている。

彼はきっと私を使って、剣八さんを傷付ける気だ……


「今のは……姐さん!?」

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