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淡い恋心

第7章 密室【凛/B】



ーゴクンー

と望の喉が鳴ったのを確認すると、凛は漸く弟を解放した。
頭を撫でてやれば自分達と試着室を綺麗にして、スポーツショップを出て行く。




「情けねぇな」

『うぅー……オレだってデカくなったら同じ事してやるっ』

「俺よりデカくなったらな?」

帰り道、凛は歩けない望をおんぶして自宅までの道を歩く。
最後の行為を根に持っているのか、ずっと膨れっ面の弟に余裕な顔を見せている。

身長も江より低い上、女顔なので自分に凄いコンプレックスを抱いている望。
自分の肩に顔を埋めている弟を、宥める様に頭を撫でてやる。

「望、自分を嫌いになるなよ?……兄ちゃんはちゃんとお前が好きだからな」

『兄ちゃんっ』

「ちゃんとデカくなるから安心しろ、望は俺より成長が遅いだけだからな(多分……)」

『うん!オレも兄ちゃん好き!絶対兄ちゃんよりデカくなる!』

「そ、そんなに急がなくて良いからな……」

立ち直ってしまった望の目は、嬉しそうに輝いて居り凛にとっては複雑でしかない。

帰り道、家に着くまで永遠と将来の自分像を語っていた望。
凛は耳を塞ぎたくて仕方がない気持ちでいっぱいだったとか……




(自分のケツの心配しといた方が良いかッ……可愛いままで居てくれ、望!)

同じ高校に通えるのは嬉しいが、成長はして欲しくないと兄らしからぬ思いを抱いている凛ちゃんでした。


Fin.
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