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淡い恋心

第40章 淡い愛情【黒子/N】



「彩條さん、一緒に帰りませんか?」

『えっ、今日部活ないの?』

「はい」

『帰る!テツくんと帰りたい!』

正月明けに初めて出来た彼女の彩條さんと帰るのは初めてで、僕と帰れる事を満面の笑みでこんなにも喜んでくれるとは思わず、少し驚いた後僕は(あぁ、好きだな)と愛しく想って軽く笑みを見せる。



昇降口を出てから隣を歩く彼女が何かしたそうにもじもじしてるのが横目にチラ付き、言いにくい事なのかと僕は正門を出たところで口を開く。

「彩條さん、どうかしましたか?」

『テツくん……ッ……手繋いでも良い?』

「……ッ……」

僕の彼女はいちいち可愛いです。

『テツくん、周りの目とか気にする人かなって』

「いえ、すみません。気が利かなくて……僕も彩條さんと手繋ぎたいです……はい、どうぞ」

『ッ!……やった!』

彩條さんは嬉しそうに無邪気に笑うと、僕が差し出した手に小さな手を乗せて来てぎゅっと優しく握られる。

『嫌な事があったら嫌って言ってね?我慢しないで』

「はい、彩條さんも僕に不満とかして欲しい事があれば遠慮せず言って下さい」

『テツくんが嫌じゃなければ……私の事名前で呼んで欲しいなぁ』

「えっ……ッ……」

名前で呼んで欲しいと言われて僕の顔に熱が集まるのが分かると、顔を背けて恥ずかしいというか照れてしまう。

『無理しなくて良いよ!今じゃなくて良いから、いつか馴れたら言われたいなぁ……恋人って感じっ』

「悠鬼さん」

『……ッ……』

「すみません、男子でも女子でも人を名前で呼んだ事がなくてッ……」

『私だけ?』

「はい、悠鬼さんだけです」

特別で大事な人だから恥ずかしくても、僕も彼女を名前で呼んで見たいと思った。
そうすると必ず貴女はまた嬉しそうに笑ってくれるから。

『もう一回呼んで?』

「悠鬼さん」

『もう一回ッ……』

貴女への感情を抑えて居たのに可愛く頼まれたら我慢出来なくなり、僕は彼女を引き寄せると口にキスを落とす。

「悠鬼さん、好きです」

『!?……私もテツくん大好き!』

悠鬼さんは驚いた後、頬を真っ赤に染めて僕の腕をぎゅっと抱き締めて来る。
こんなに幸せで良いんでしょうか……

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