第39章 不浄王編【勝呂/N】
(!?)
不浄王との戦いが終わり、俺達は俺の実家に戻って一晩泊まった。
俺が目を覚ますと隣に人の気配がし、横に目をやると何故か幼馴染みで俺の想い人の悠鬼が隣で眠っていた。
確かこいつは他の皆と一緒の部屋で眠った筈ッ……
俺と一緒に居りたい言うて散々ごねたけど、渋々でも言う事聞いとった筈やのに……
『んっ……竜ちゃッ……』
「……アホがッ』
悠鬼の目尻は真っ赤に染まっていて、ずっと泣いとったんかと思うと胸が痛む。
俺が無茶して倒れた事を知られて再会した時も、散々泣かれて珍しく俺が悠鬼に怒られた。
悠鬼に抱き付かれる度に理性と戦っているのも知らないクセに、こいつは無防備に俺の傍で眠っとる。
二人で祓魔師になるまでは恋人にならんと約束したのに、俺は悠鬼の顔の横に手を置くと顔を近付けて唇を重ねた。
『んぅ……竜ちゃん?』
「!?」
『あたしに欲情してもうたん?』
「違ッ……お前が隣でなんか寝とるからやろ!」
『竜ちゃんがあないな無茶するからや。あたしがどれだけ心配したか解る?どれだけ怖かったか解る?』
「しゃぁーないやろ!あぁしないと明蛇はッ『好き』」
『大好き、愛してるよ竜ちゃん』
「……ッ……」
俺の顔は震える両手に包まれて、下にいる悠鬼は涙目で俺の顔を見つめている。
時折見せるこいつの切な気な表情が大人びて見え、今まで以上に綺麗に見えるから俺の心臓はドキドキが治まらず、顔に熱が集まるのも解る。
「お前はまたそないな恥ずかしい事ッ」
『言える時に言わんで後悔するんはイヤやもん!あたしは言いたい時に言う!……でもいつ恋人になるかは竜ちゃん次第』
「!?」
悠鬼の想いはいつでも真っ直ぐ俺に向けられていて、俺が言えばいつでも恋人になれる。
祓魔師になってから。それがケジメやと思ってずっと抑えていた俺の気持ち。
『言える時に言わないで後悔は嫌だ』と必死に告げて来る悠鬼を、俺は力強く抱き締める。
『竜ちゃん、お疲れ様。おかえりなさい!』
「お前はどれだけ俺を惚れさせたら気が済むんや」
『まだまだ足りへんもん!』
「アホッ……ただいま」
今度はお互いの意志で口付けを交わした。
背中に回された細い腕は息苦しさを覚える程、俺を抱き締め返して来た。