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淡い恋心

第36章 本当の心【黄瀬/N】



『えっ、涼くん熱出して休んでるの?』

「あぁ、俺はそう聞いているが?」

「自分で体調管理も出来ない等弛んでいるのだよ」

「つーか、お前知らなかったのかよ?彼女だろー?」

帝光中の朝練の時間になり、人伝に彼氏の体調不良を聞かされた悠鬼。
青峰の一言で目を見開いて驚き、今にも泣きそうな顔を見せると、相手の服をぎゅっと掴んで不安いっぱいの顔ですがる。

『わ、私以外に看病してくれる彼女がいるの!?青くん知ってるの~?』

「知らねーよ!俺に絡むな!」

『青くんが言ったんでしょ!……そうだよねぇ、涼くんならそういう人の二人や三人いても可笑しくないもんね……』

「そうだなー、アイツならセクシーな彼女が居ても可笑しくねェし」

『……やっぱりお付き合いしなきゃ良かったのかな?』

「そんな事言ったらきーちゃん泣いちゃうよ!悠鬼ちゃんと付き合える事になって、きーちゃん本当に嬉しそうだったもん!」

『……さつきちゃんっ』

「悩んでる暇があるなら家に行って見れば良いのだよ。そんな暗い顔で仕事をされても困る」

「悠ちん、もし黄瀬ちんに泣かされたら俺に言いなよ?俺が捻り潰してあげる~」

『ありがとう皆!朝練終わったら行って見るよ!』

桃井・緑間・紫原が慰めてくれると、朝練の仕事は最後までする事にし今日は授業をサボってお見舞いに行こうと悠鬼は決めた。




『人気モデルは住んでるお家も凄い……』

黄瀬の自宅に初めて訪れた悠鬼は、立派な家に口を開けて唖然と見上げてしまう。
来る途中で看病に必要な物を一通り買ったが、インターホンの前で少し躊躇う。

もし鳴らして本当に美人なお姉様とか出て来たらどうしようとか、迷惑だと言われたらどうしようとか、付き合うのが初めてな悠鬼はネガティブになって考えてしまう。

(授業サボってまで来ちゃったし……)

悠鬼は意を決して震える指でインターホンのボタンをそっと押す。

(何か……悠っちな気がする)

朦朧とする意識の中、何度も聞いている同じ音なのに何故だか控えめな音に聞こえ、黄瀬は心地良いと目を閉じたが、ハッ!と目を覚醒させて玄関に向かう。

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