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淡い恋心

第35章 抑えられない想い【虎太/N】



「ゆ、悠鬼ッ……」

『はい』

「……ッ……」

電話越しならあの勢いのまま伝えられたのに、いざ相手を目の前にすると言葉が出て来なくなる。
緊張して自分の顔が真っ赤に染まっているのを理解しているのに、悠鬼は虎太を真っ直ぐ見上げて言葉を待っている。

悠鬼はいつも虎太を試す様に意地悪で、でもそれも可愛いと思ってしまうから強く出られない。
今まで何度も悠鬼の可愛い意地悪にドキドキさせられて来たが、今日以上に鼓動が煩く鳴り苦しくなる日はないだろう。

「悠鬼、好きだ!俺の彼女になって欲しい!」

電車の中でもずっと考えていた。
悠鬼が喜んでくれる言葉で、精一杯自分の気持ちを伝えたいって……
こういう時、竜持達なら上手い言葉が出て来るかもしれないのに、口下手な自分に嫌気が刺す。

すると悠鬼は柔らかく微笑んで、虎太の頬にそっと優しく触れる。

『やっと言ってくれたっ……私も虎太ちゃんを愛してる』

「!?」

いつも思う、悠鬼の愛情の強さには敵わない。
自分が与える愛情よりも、悠鬼は幼い頃から何倍も大きく返してくれている気がする。

ずっと、ずっと待ち望んでいた言葉を漸く伝えられた悠鬼は、目尻に涙を溜めて本当に愛しそうに虎太を見つめる。

「俺も悠鬼を愛してるッ……ずっと……」

『んっ……』

そして二人は改札口で告白をしてキスを交わしたところで、周りから大拍手を貰う事になった。





「悠鬼、もう少し放れて……」

『い・や!ダメよ~』

「……ッ……」

悠鬼は昔から三つ子とスキンシップが激しいが、今日は虎太の指を絡めて手を握り腕を抱き締めている。
ずっとドキドキが治まらずそう頼むが、悠鬼の意地悪は一向に止まらない。

『私でドキドキしてる虎太ちゃんを堪能したいの!』

「お前なぁ……」

『ちょっと遠回りして帰ろう?』

「もう持たないって!……俺も男なんだぞ?襲っちまうかもッ……」

『虎太ちゃんは私にそんな酷い事しないもん』

「……ッ……うん、大事にしたい」

やっぱり彼女にはずっと敵わないかも……


Fin.
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