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淡い恋心

第5章 気になるアイツ【勝呂/N】



ペシっと悠鬼の頭を叩く。

時々こいつの発言には驚かされる。
幼馴染みやから遠慮なんかないし、過度のスキンシップもある。

俺が呆れた様に深い溜め息を吐いてると、懲りずに俺の腕に絡んで来て躰を寄せて来る。

『あたし、この間学校で告白されたんや』

「!?」

「何て言うたんです?OKしたんですか?」

『する訳ないやん!……あたしは竜ちゃんしか見てへんもん!せやから嫁ぐ先は決めてるんで無理ですぅ言うたんやぁ~!』

「な、何言うとんねん!」

「ぷははは!ええですやん!将来決まっとって!」

ポッと赤くなる頬を押さえながら照れる悠鬼に、俺まで釣られて顔を赤くしてもうたのが分かる。
俺が顔を背けたのを、二人はまたからかう。

『本気やもん……竜ちゃん、ちょっとは気にしてくれた?』

「……っ……お前なぁ、人の気も知らんと……」

『知っとるよ?だからこそ気持ちはあたしに留めて置いてくれんと……あたし達が付き合うんは立派な祓魔師になってからや』

「せやな、遠い話やけど……俺も悠鬼しか居らんし……」

包み隠さない性格の悠鬼なので、お互いに両想いなのは中学の頃には分かっていた。

「好きなら今直ぐにでも付き合えばええ」志摩はそう言うて来るけど、俺も悠鬼も生半可な気持ちで祓魔師を目指しとる訳やない。
そしてお互いに想う気持ちも、安易なものではないんや。
恋人になるのは「立派な祓魔師になってから」そう二人で決めたんや。





『竜ちゃん!あたしにもピアスの穴開けてぇや~』

「病院行けや!」

『嫌やわ~!竜ちゃん以外の人に傷物にされるなんてっ』

「坊、やりますねぇ」

「やるか!自分でやれ!」

『はい、道具は買ってあるから!』

「ホンマ人の話聞かんなぁ!?」

『初めてやからぁ、優しくしてや……』

「頬を赤くすんなや!」

「あははは!ホンマ、二人見てると飽きまへんわぁ~!」

こいつはどんどん積極的に迫って来る。
それでも目が離せんし、どうも俺はこいつに甘い。
立派な祓魔師になるまで、この理性と戦うんが苦痛やわ。

い、いや……俺は坊主やから邪心はアカンな。

いつか俺も悠鬼見たいに伝えられるとええな。

【お前が好きや】と……


Fin.
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