第30章 魔王な彼【有利/N】
一番痛いのは受け入れてくれている悠鬼の方なので、抱き締め合ってキスを交わしながら馴染むまでゆっくり腰を前後に揺らす。
『ふっ……んぁ……ゆぅ……りッ……』
「んっ……どう?まだ痛い?」
『ぁっ……うぅん……動いても大丈夫っ……』
ほんの少し痛みは残るが挿れた時程の強い痛みは無くなって来たので、優しく言葉を掛けて自分に合わせてくれて居る有利を見上げると、悠鬼は動ける様に促す。
「ごめん、ちょっと余裕ないかも」
『んっ……有利の好きに抱いて?全部受け止めるから』
「……っ……」
下で寝ている悠鬼は目を細めて両腕を広げながら受け入れてくれている。
有利は改めて思う。
この幸せを失いたくない。
この温もりを手放したくないと……
「悠鬼っ……んぅ……」
『はぁ……ゆぅ……りっ……あぁん!』
お互いに初めての行為で苦しい筈なのに悠鬼もとても幸せそうで、今まで以上に艶のある美しさに有利は繋がっている間ずっと目を奪われて居た。
乱れる髪・涙目の瞳・赤い顔・ベッドが軋む度に揺れる胸と甘い喘ぎ声は全て有利を興奮させるもので、本当は彼女に合わせて気遣いながらこの行為を堪能したいと思うが、理性等吹き飛んで本能のままに腰を振り続ける。
悠鬼に酔い過ぎて可笑しくなるッ、俺が俺じゃない見たいだ……
『やぁあ!ゆぅりっ……来ちゃう……』
「俺……もっ……あっ!」
何度も熱くなる結合部分を擦り合わせ善い箇所を刺激し続けると、下から湧き上がって来る様な感覚に悠鬼は若干恐怖を覚え有利の躰にぎゅっとしがみ付いて耐える。
その細い躰を有利も抱き締め返し、更に速く腰を動かすと絶頂へと促す。
果てる寸前で自身を引き抜くと、有利はゴムの中に白い欲を吐き出す。
「悠鬼、また惚れ直しちゃった……愛してッる……」
『!?……私も愛してる……有利……』
いつも恥ずかしがって顔を真っ赤にしてしまう有利が、この時とても男らしく格好良く見えてしまい、悠鬼は彼を目一杯抱き締めた。
『有利!もう一回!』
「えっ!?」