第26章 銀髪の貴公子【イザーク/N】
私立SEED学園高等部
私はここの生徒会長であるイザークに恋をしています。
女子顔負けの容姿淡麗、成績はアスランと一・二位を争っている程文武両道。
そして政治家の母を持つお金持ちで、学園ではとてもモテる。
しかし、その綺麗な顔とは裏腹に性格はとってもキツいのです。
「ジュール先輩、好きです!私を貴方のっ「断る!俺は貴様など知らんからな!……俺は忙しいんだ、余計な手間を取らせるな!」」
学年問わず色んな女子から何度も告白されているイザークは、あからさまに煩わしそうに眉を顰めてきっぱり振る。
一部始終を見て居た私は(うわぁー)と、相手の女の子に同情してしまう。
「ユウキ、ここで何をしている?」
『うわっ!?……あっ、いや……通り掛かっただけだよ?』
「どうせ盗み見て居たのだろう」
『人聞き悪い!本当に偶然だって!』
「ふん、どうだかな」
校舎内から中庭にいたイザークを見て居た私は、先生から頼まれた教材を運ぶ為に先に歩を進め様とする。
すると先程まで中庭に居たイザークが、直ぐ側の扉から校舎内に入って来たので、動揺しながらもきっぱり否定する。
見透かしている様に不適な笑みを浮かべるイザークに、これ以上墓穴を掘られない為にも彼の前を通って先を急ぐ事にした。
「それ、どうする気だ?」
『数学のクルーゼ先生の部屋まで持って行くの!宿題忘れたから罰則だって……』
「馬鹿者!貸せ!」
私が持って居た教材を見たイザークに理由を話すと、彼は呆れながら全て奪って私の行き先に進んで行く。
その行動に驚いた私は、ポカンっと立ち尽くしてしまう。
「何をやっている?行くぞ!」
『えっ……何で、イザークが?』
「後で俺が宿題を見てやるからな、感謝しろよ」
『……っ』
(あぁ、好きだなぁ……)
確かにイザークは見た目の割りに性格はキツいけど、素直じゃなく優しいところが私は大好きなの。
愛しい彼の背中を目を細めて見つめた後、私は小走りに近付いて隣に並んで彼の言葉に甘える事にした。
『もう少し優しい言い方してあげれば良いのに……』
「優しくしたら期待させるだけだろうが」
『えっ?そんな事考えてたの?』
「女共は知りもしないで好きだ何だと良く言えるな」
『イザークの言い分も分かるけど、私だったら好きな人にあんな事言われたら立ち直れないよ』