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淡い恋心

第25章 真面目なセクハラ【尊/N】



私は方南のストライド部にランナーとして入りたい一心で、ずっと体力作りを怠らなかった。
しかしストライドをやっているのは皆男子ばかりで、中学生の頃の私は女だからと舐められて一度もレギュラーとして試合に出させて貰えなかった。

体格も歩幅も男子とはずっと違うから、体力も脚の速さも劣る。
解っていても諦められなくて、私は今年の春に方南高校ストライド部に入部した。


「……良い脚だ」

『……っ……』

ストライド部に入部してから三ヶ月が経ち、フレンドリーな先輩達や同じ一年組の子達とは仲良くなれた。
ここの部員達は私を快く受け入れてくれたし、女だからと差別せずに接してくれる。

そして私に自信と勇気を与えてくれた藤原尊に、私は片想いをしています。

(ストライドが好きな奴に男も女もないだろ。人に言われて簡単に諦められるなら、それまでって事だ)

練習が終わってもランニングしながら帰っている彼を見て、彼は本当にストライドが好きなんだとヒシヒシと伝わって来る。
ストライドが好きな気持ちは尊にも負けて居ない私は、尊と同じメニューを熟し続けているが、彼は時々こうして私の脹脛を間近で見つめて揉む。
遠慮や恥じらいも一切見せずに……

『尊っ……もう止めてくれる?』

「何故だ?俺は脚の状態を見て居るだけだろ?」

「藤原、それはセクハラだろ……」

私の制止の言葉に理解出来ていない尊に、支倉先輩が呆れた様にストレートに「セクハラ」だと教えてくれる。
しかし、私は尊の行為はセクハラだと思って嫌がっている訳ではなく、違う意味で耐えているのだ。

『ぷっ……あはは!!もうダメ!擽ったぁーい!!』

「?」

「擽ったいって」

『いえ、ありがとうございます!支倉先輩……でも私は尊のセクハラ?がイヤなんじゃなくて、脚を触られるのが弱くって!』

「悠鬼、悪かった」

『ううん!私、尊に褒められるの凄く嬉しいもん!……でも女の子がムキムキになったら引く?』

「いや、引かない。俺は悠鬼の脚が好きだ」

『本当!?じゃあ、もっと頑張らないと!』

尊は私が嫌がっていないのが分かると、真剣な表情で再び私の脹脛を揉み始める。

正直者の尊が言ってくれる言葉だから、他の人に言われるよりずっと嬉しさが増してしまうのだ。

(完全に変態発言だけどな)

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