第22章 ちびっ子台風【黄瀬/N】
「職場体験っスか……悠っちは何処に行くんスか?」
『まだ決めてないんだよねぇ……』
「お菓子工場とかが良いなぁ~」
「甘ったるそうじゃねェ?」
『あぁー!こことか面白そうじゃない?』
一週間後に職場体験が控えている悠鬼達と帝光中バスケ部の面々。
ボケェ~と職場体験の一覧表を見ていると、悠鬼は一つの場所を指差して皆に見せる。
楽しそうにニコニコしている悠鬼とは対照的に、男子陣は嫌そうな顔をしている。
「何でこんなとこなんだよ!絶対ェ無理!」
『皆身長高いし!』
「どういう理屈なのだよ」
「あり得な~い」
「僕は嫌いじゃないです」
『可愛いよねぇ!』
「悠っちと一緒なら俺はどこでも良いっスよ!」
ー一週間後ー
結局、嫌そうにしていた男子陣は、悠鬼に強引に連れて来られたのは......
「ここが幼稚園ですね」
「遊具ってこんなに小さかったんスねぇ?」
『ねぇ?私達も昔は通ってたんだろうけど……』
「俺達デカいから余計小さく感じるんだけど~」
『無駄にね!』
「無駄は余計なのだよ」
職場体験に選んだ幼稚園を、悠鬼達が門の外から不思議そうに覗いていると、可愛らしいエプロンを着ている先生らしき女性が、中から出て来て小走りに悠鬼達に近付いて来るのが見える。
「帝光中学校の方達ですね?今日はよろしくお願いします!」
『よろしくお願いしまーす!』
「子供達も今日はとても楽しみに待っているんです!さあ、中にお入り下さい!」
(((待たなくて良いんだけど……)))
『お邪魔しまーす!』
悠鬼・黄瀬・黒子の三人は楽しそうな笑顔を見せているが、青峰・緑間・紫原の三人はやはり気が乗らない様子で、とてもテンションに差がある。
「では上着を脱いで、持参して頂いたエプロンに着替えて下さい」
「エプロンなんか聞いてないっスけど?」
『あぁ、大丈夫!皆の分も私がちゃんと用意しといたから安心して?』