第21章 奇跡家の受難【高尾/N】
『和くん……ここ?』
「うん、父さんが良いマンション買ってくれたんだ!」
和成が卒業する時に、父に悠鬼と二人で暮らす事を告げると、結構簡単に許してくれた。
そして用意してくれたのは、五十階立ての高級マンション。
この場所を知っているのは両親だけで、他の兄弟には言わない様に頼んである。
(父さんは良いとして、母さんの方はポロっと言いそうだなぁ……)
『和くん!……ベッドが!』
「えっ?……俺達何か言ったっけ?」
『私がママに言ったの……和くんが好きって』
「はぁ!?」
家の中を色々見て行くと、寝室にはキングサイズのベッドが一つだけ。
他の部屋にはベッドがないので、両親が知っている事に驚きを隠せない和成。
そして悠鬼の発言に一瞬驚愕した和成だが、悠鬼は大我ママには絶対嘘を言えないし隠し事も出来ないのだ。
(まぁ、良いか)と諦めた様に溜息を吐いた和成は、悠鬼を寝室に入れて壁に押し付ける。
『んっ……和くん……』
上を向かせて悠鬼の唇を奪うと、息が出来ない程の深い深い口付けをする。
舌を挿れてとろける様な甘く愛しいキスを味わう。
悠鬼が息苦しそうに胸を押して来たところで口を放すが、顔は至近距離のまま放してくれない。
「か・ず・な・り……呼び捨てで呼べよ」
『……だって、何か慣れなくて……んっ』
「……はァ……和くんって呼ぶ度に口塞ぐからな?」
『やだぁ……我慢出来なくなっちゃう……』
「……っ……悠鬼、大好きだ。絶対幸せにしてやるからな」
『もう幸せよ?……和くっ……か、和成と一緒に居られるだけで良いの』
「足りないくせに……」
『……っ……』
Fin.