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淡い恋心

第21章 奇跡家の受難【高尾/N】



奇跡家は六人兄弟の大家族で、母の遺伝により皆身体が大きい。
父・和成・悠鬼・テツヤ以外は、余裕で180cmを超えている【犬も含め......】。

だからという訳ではないが、父母含め有名な【似てないバスケ一家】です。

「母さん、新聞が見当たらないんだが......」

「あぁ......今、涼太に取りに行って貰ってるから、待ってろよ」

父、征十郎はバスケ用品を取り扱う大手メーカーの社長で、常にトップに立つ事を当然としている。
それは子供達にも義務付け、とても厳しい人なので母以外絶対逆らわない。

母、大我は家事を完璧にこなす主婦。
週に数回、小さい子供達にバスケを教える先生をしている。
男勝りである。

「......っつっても、行かせてから随分時間掛かってやがんな」

「母さん、涼太......おばさん達に絡まれているよ」

「!?......あのアホが!」





「痛ぁーい!......殴る事ないじゃないっスか!」

「新聞取りに行くのに、何十分掛かるんだよ!父さん、さっきから待ってんだよ!」

門の前で近所のおばさん達と、長話していた犬の涼太の頭をぶん殴り、襟足を鷲掴んでズルズル家の中に引き摺り込む大我ママ。
あまりの痛さに半べそ掻きながら、自分の頭を摩っている涼太は、家族全員に弄られています。

近所のおばさん達にも、家の前を通り掛かる女子学生達にもモテモテ。




「おはようございます、父さん母さん」

「あぁ、おはよう......真太郎」

「おう、おはよう......悪ぃけど真太郎、他の奴等起こして来いよ」

「何で俺がそんな事しなければならないのだよ」

「寝坊助ばかりで、さっさと起きて来ねぇからだよ!」

長男の真太郎は、医大に通う大学三年生。
アスリート向けの医者を目指して居り、父を一番尊敬している。
ので父にだけ敬語で話している。

真太郎は大我ママの言葉を渋々受け入れ、降りて来た階段を再び上がると、自分の隣の部屋を開ける。

「大輝、起きろ!」

「がぁー!」

ベッドには褐色肌の次男、大輝が鼾を掻いて大の字になって寝ている。
一番目覚めが悪く、寝ている途中で起こすと暫くは機嫌が悪い。

しかし真太郎はそんなのお構いなしに、大輝の顔を引っ叩く。
呼んだくらいでは、簡単に起きないからだ......

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