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淡い恋心

第20章 小さな彼女【一角/N】



「一角、悠鬼何処に行ったの?」

「あ゛?……あぁ、阿近に頼んだ俺の奥歯を取りに行かせたんだ……それにしちゃ遅ぇな、どっかで話してんじゃねぇか?」

「そっか、書類持ってて貰えば良かったなぁ」

道場で鍛錬していた一角と話していた弓親は、この隊で唯一真面目に自分と仕事をしてくれる悠鬼に、書類を持って行って貰おうかと考えて居たが、一角の言葉を聞いて諦めた様に溜め息を吐くと、不意に遠くから言い争っている声が聞こえて来る。

「何だァ?煩ぇな」

「玄関の方だね」

道場は全部の敷戸を開けているので、風も入れば声も聞こえて来る。
放って置こうとした一角だが、言い争っている声の中に女性の声も微かに聞こえて来る。
ここで女は悠鬼とやちるしか居ないので、取り敢えず様子を見に行ってやろうと声のする方へ向かう。



『いいかげん、とおしてちょうだいな!』

「てめぇ見たいなガキが来るところじゃねぇんだよ!」

『だから!わたしは悠鬼だっていってるじゃない!』

「姐さんがそんな小せぇ訳ねぇだろ!」

「そうだ!姐さんはもっと胸が大きくって、腰も細くて……」

「ケツも良い形してて脚も綺麗だし、傍を通ると良い匂いがしてよぉ」

「色っぽくなったよなァ」

『まぁ!?』

「ほぉー、テメェ等俺の女をそういう目で見てやがったのか?……あ゛ァ!?」

「「「ま、斑目三席!?」」」

隊士達は一角によって半殺しにされ逃げて行き、改めて少女に目を向ける一角と弓親。
現世の子供で言ったら、小学校上がったくらいの幼女がそこにいる。

腰まである真っ赤な髪に、桃色の帯、太腿の中心辺りの丈の死魄装を着ている。
その格好は十一番隊の四席であり、一角の彼女である悠鬼に見えるが……二人共、目を見開いて驚いている。

「悠鬼か?」

『なにいってるの?わたしにきまってるじゃない!……ほら、おくばもらってきたからつけてあげる、いっかくすわって?』

「お、おぅ」

「って!違うでしょ!?悠鬼、自分に何の違和感もないの?」

『そういえば、なんなのかしらねぇ?さっきはなのっても、しんじてもらえなかったし……みんな、いつもよりおおきいわね?』

「お前が小さくなったんだよ」

『え?』

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