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【進撃の巨人】Happy Birthday【生誕祭】

第2章 Happy Birthday Dear Eren





「ミカサ、こっちだ!」

調査兵団が壁外から帰還する日。
エレンは興奮気味にミカサの手を引っ張り、シガンシナ区の外門へと急いだ。


「クッソ、見えねぇな!」

人混みの向こうから、兵士達の足音が聞こえる。
脚を引きずっているのか、ズリズリという音も混じっていた。

壁の外から戻ってくる英雄達は、どんな顔をして歩いているんだろう。
見たくてたまらないのに、体をいっぱいに伸ばしても、目に映るのは馬に跨った兵士の後頭部だけ。

「このままじゃ、調査兵団の人達が行っちまう!」

エレンは不満そうに辺りを見回した。
そして、少し先にある八百屋の軒先に、果物の木箱が積まれているのを見つける。

「あれだ!」
「エ、エレン?!」

ミカサの手を離し、八百屋へと駆け出した。
無鉄砲な性格は、少々危険なことでも躊躇がない。
エレンは木箱を高く積み上げ始めた。

「エレン・・・どうするの?」
「決まってんだろ! この上に乗れば兵士達の顔が見れる」

5つほど積んだところで、今度はよじ登り始めた。
しかし、すぐに下の方がグラグラと揺らぐ。

「エレン、危ない」
「そう思うんなら、しっかりと押さえてろよ」
「うん」

しかし、ミカサが支えようとするよりも一瞬早く、バランスが大きく崩れてしまった。

「うわっ!」

ガタガタと派手な音をたてながら崩れていく木箱。
エレンの小さな体が宙に浮いた。

「エレン!」

ミカサの叫ぶ声。

地面に叩きつけられる!
そう覚悟し体を強張らせた、その瞬間。

襲うべきはずの痛みが、なかった。



「・・・危ねぇことをしてると思えば・・・」


その代わり、静かな声が頭上から聞こえてくる。
フワリと、今まで嗅いだことのない香りが鼻をくすぐった。

これは土・・・いや、太陽の香りか・・・?


「世話をかけんじゃねぇ」


恐る恐る目を開けてみると、黒髪が瞳に映った。
その次に、モスグリーン色の外套。

「あ・・・」


抱きかかえられているエレンの目のすぐ横には、「自由の翼」のエンブレム。


調査・・・兵だ・・・


兵士は、エレンにケガがないことを確認し、小さな体をゆっくりと地面に下ろした。



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