【進撃の巨人】Happy Birthday【生誕祭】
第1章 Happy Birthday Dear Levi
寒さを遮るものは何もないが、シンと静まり返った一人だけの空間。
ここなら誰にも邪魔をされずに“あれ”をすることができる。
リヴァイはそっと懐から、昨日の遠征で死んだ兵士の名前が書かれた紙を取り出した。
「クルト・バインリヒ・・・第三分隊四班・・・」
金色の髪が印象的な背の高い男だった。
「クラウディア・ エメルト・・・第一分隊二班・・・」
小柄だが、運動神経が良い女だった。
ひとつひとつ名前を口にし、雪の中にその顔を思い出していく。
その度に、心が重くなった。
これは、自分が守れなかった命。
冷たい氷の結晶が、頬を濡らす。
「・・・・・・・・・・・・」
何十人目の名前を呟いた時だろうか。
ふと、リヴァイの背後で人の気配がした。
「リヴァイ兵長」
振り返らずとも、その声で誰だか分かる。
リヴァイはそっと目を閉じた。
自分にとって、一番重い命。
「・・・ニナ」
雪を踏みしめる足音。
ふわりと肩に感じる温かさ。
「やっと見つけました」
背中から抱きしめられる。
首だけで振り返ると、優しく微笑むニナがそこにいた。