第1章 飲み会
「初夏って結構飲むよね」
隣でビール片手にけたけた笑う親友がいる。どうやら凄く酔っている様だ。
「冬乃かて飲みすぎちゃう?」
「いやいや初夏のが飲んでるってー」
確かに自分は酒に強く先程からガブガブ飲んでいる。だがそれとこれとは話が違う。
「冬乃酒弱いだろ」
忠告混じりに言ったが冬乃は聞いていない様だった。ビールを一気に飲み干し挙句の果て自分の飲んでいたモスコーミュールまで飲んでしまった。
「ちょっ冬乃何勝手に飲んでんだよ!」
「へへージンジャーエールうまし」
満面の笑みでピースをしてくる冬乃を制御出来る人はもう居なさそうだ。七年くらいの付き合いのある自分でさえも酔った冬乃は止められない。
「んー、暑いー」
暑いと言いながらも抱きついて来る冬乃はもう手遅れのようだった。しかし今から帰ろうとしても冬乃はまだ飲む〜とでも言いそうだ。今日は帰れない事を覚悟したほうがいいなと思いながらモスコーミュールを追加した。
「初夏はモスコーミュール飲みすぎだぞー!」
冬乃は追加したモスコーミュールまでも飲んでしまった。こちらが酔っていたらなーにしてんだよーと笑っていただろうが、酒に強いが故呼んだ悲劇とでも言おうか冬乃のいつもと違う言わば醜態を脳に保存せねばならぬのだ。
仕方が無い、とモスコーミュールは諦め、ジンバックを頼んだ。
「ジンバックってー?」
のしかかりながら聞いてくる酔った冬乃に適当に説明すると、どれだけジンジャーエール好きなんと笑われた。モスコーミュールもジンバックもジンジャーエールは言う程入ってないと思いますが…。