第5章 *愛を込めて、花束を。【黒尾鉄朗】
―……ここは何処?
―あれ、あんなところに……チョコレート…?
―うわ、なんかおっきいケーキもある!
―!お菓子の家だ!!すごいすごい何ここ!!
―周り全部お菓子ばっかりだし……もしかしてここって―……!!
「スイーツの国!?」
「うおっ!?」
「えっ!?」
「………おー…、やっと起きたか。」
「あれ!?……お菓子の家は……!?」
「何、まさか寝ぼけてんの?ここはお前ん家のお前の部屋だろ、綾乃。」
彼の言葉を聞いて辺りを軽くキョロキョロと見回せば、そこは確かに私の部屋だった。
じゃあさっきまでの空間は夢の中だったということ?
あぁ、そうか。黒尾に会えないならチョコレートなんて作らないーってベッドにダイブして……そのまま寝ちゃったのか。
まだ正確に機能しない脳をフル回転させながら、こんな状況になった経緯を思い出す。
ひと通り整理がついて落ち着いたとき、ベッドの横に腰掛けている彼が口を開いた。
「…目ぇ覚めたか?」
「え、あ…うん。おはよ黒尾。」
スマホを弄っていた手を止めて、私のいる方に顔を向ける黒尾―……………
……………え?黒尾………?
……………黒尾!?!?
「なんでアンタここに居るの!?」