第3章 *あめあめふれふれ【及川徹】
「…………ちょっと待って嘘でしょ…!?」
なんというタイミング。
私が呟いたその瞬間からポツリポツリと天から水が落ちてきた。
それは段々と威力を増して、既に大雨だ。
「今は降らなくていいのに…………。」
降ってくれ、じゃなくて
降ってくれてたら良かったのに、と言ったハズなのに。
お生憎様、私は傘も雨具も持ってない。傘を持ってるって言ったのは嘘だ。
天気予報なんて見てないし、そもそも信じない派だし…。
どっちみち、此処でずっと立っていても仕方がない。チラリと時計を見ると、もうすぐ18時30分になろうとしている。
「…よしっ。」
雨具が無いなら、選択肢はただ1つ。
鞄を持ち直し、雨空の下へ駆け出そうとしたら―
「っ綾乃ちゃん!!」
つい先程聞いたばかりの声が、此方へ近づいてくるのがわかった。