第1章 1.warmth
考えてみれば、
あたしへの特別はいくつもあったんだ。
今日1日の中でだって、いくつも。
迎えに来てくれるのもそう。
ミネラルウォーターだってそう。
お医者さんっていう仕事柄、忙しいはずなのに
あたしが寝る前には必ず電話をくれるところとか。
あたしが、ローを見つめているのをいつも見抜いてるのは
ローもいつもあたしのことを見てくれているからということとか・・・。
思い出してみると
こんなにもあたしはローから”特別”をもらってたんだ。
ひとりで不安がって
言葉ばかり求めて、
こんなにも愛されていることに気付かなかった。
そんなあたしのことなんかお見通しみたいに
ローがとどめの一言を耳元で囁く。
「好きだ。アオ。」
一番ほしかった言葉をもらって、ローの顔を見上げるあたしの目は涙目になっていた。
「・・・・誘ってんのか?笑」
「え?」
ニヤっと笑ったローがあたしの目元、頬と口付けを落とす。
そして
顎を持ち上げられて目線が交わる。
ローのキレイな顔が近づいてきて鼻と鼻が僅かに触れ合ったかと思うと、優しく唇が重なってきた。
触れるだけのキスを繰り返していると、唇が離れてまた目線が重なる。
暖かな腕の中と湯たんぽでポカポカなベッドの中で幸せを感じながら目を閉じる。
そしてまた、あたしだけの甘い特別な時間をローはあたしにくれるんだ。
fin