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LAW -short-

第4章 Similar to confession


携帯の液晶画面を見ると、20:13

高級マンションの無駄に広いエントランス
そこにある客人用のソファーにもたれて、携帯をバックに仕舞う。

20時半には帰ってくると思うんだけどな・・・。

.....早く。
早く会いたい。


目を閉じただけで、目の下に隈をつくった少し怖い顔の外科医さんの姿がくっきりと浮かぶ。


怖い顔だけど・・かっこいい.....私の恋人。


思わずニヤけた頬をつねっていると、ウィーンと扉が開く音。

ハッと顔を扉の方に顔を上げると、気だるげに入ってくる人が目に入る。


「ロー!!」


顔を上げた彼は、眉間をぎゅっと寄せて私を強く見据えた。


「また来たのかよ。」

「またそんな言い方・・毎日来てる訳じゃないし。
大体、メール入れたじゃない。今日行くって。」


「見てねえ。お前がきたら1週間分うるせぇんだよ。」


部屋へと向かうエレベーターの箱の中で、
チっと舌打ち混じりに毒を吐くこの男こそが、私の最愛の恋人だ。


ポケットから出した鍵で部屋の扉を開けているだけなのに、ローの眉間の皺はなくならない。


「・・・・疲れてる??」

「急患続きでな。」

「・・・・そっか。」



ローは扉を開けて、それを支えたまま、私に先に入れと促した。


私は持っていた紙袋を差し出し、笑って見せた。


「ご飯作ってきただけなの。色々おかず入ってる。ご飯は冷凍してあるからチンして食べて。」

「あ?帰るのか??」

「だって疲れてるでしょ?私、ローといたら余計疲れさせちゃいそうだから。」

「・・・・・・。」

「じゃあね。お疲れ様。」


ローが紙袋を受け取ってくれたことにホッとして、手を上げてエレベーターに向かおうとする。


「おい。
・・・どうせ来たなら準備までしていけ。」


そう言ったローはもうすでに扉の向こうに入ってしまい、自然に閉まろうとするその扉に慌てて手を掛けた。


「い、いいの・・・?」

「あんまり騒ぐなよ。
うるせぇとベランダから投げる。」


私を睨むように見ながら、ローはスタスタと先に部屋へあがっていってしまった。


――――幸せ。

なんだかんだ言っても、結局こうしていつも優しいんだ。
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