第2章 2.ホームの君
やばい・・・もう45分。あと7分しかない!!
はぁっ・・・はぁっ・・・
駆け上がる駅の階段。
どうしても乗りたい7:53分の電車。
これに乗らないと学校に遅刻するっていう訳ではないけれど
。
あたしは電車に乗りたい、いや正確には電車を待ちたい理由がある。
{いた...!!}
向かいのホームに立つ、背の高い男の人。
藍色の短髪、すらっと長い脚、整った顔の名前も知らない彼。
いつもイヤホンをして左手に持つ本に目を落としている。
毎朝、あたしが乗る場所のちょうど向かいに立つ彼を、いつの間にか意識し始めてしまって、、、
今では勝手に片思い。
そんな彼を見つめていても
ドラマみたいに何かおきるわけでもなければ
彼と目が合うわけでもない。
それでも電車が来るまでの何分間かの間
彼を見ているだけでも幸せで、今日もガンバロって思えた。
そうして、彼とあたしが乗る電車は同時刻に来て、2人を
反対方向へと連れて行く。
素敵な人。
何て名前なんだろ?
どこの学校なんだろ?
いつもパーカーを着ているからどこの制服かわからない。
彼を見るたびに知りたいことが増えていく。
いつか彼もあたしのこと見てくれるんじゃないかって少し期待して、明日からは少し身なりも気を遣おうと思いながら
電車に揺られる。
そんなことを考えるのもまた幸せな時間。
明日も楽しみだな・・・早く彼に会いたい。