第38章 動
風間が振り返ると、額に汗を滲ませ疲れを浮かべた斎藤と沖田が映る。外は既に闇に包まれ、夜を迎えていた。
「此処で少し休む」
「……風間、あんたは今何処に向かって歩いているんだ?」
風間の一言で張っていた気を少し緩め、沖田は座り込み斎藤は風間へと一歩近づいた。二人には目的地すら告げられていないのだ。気になるのも無理はないだろう。茂みに隠れながら、風間は辺りに気を張る。風間だから上手く避けて進んでこれたが、進行方向にはやはり無数の羅刹隊がうようよしている。
本来風間だけで進んでしまえば、きっともっと楽に到着することが出来ただろう。それをしないのは、やはり風間に何か考えがあるからなのか。斎藤はこうして何も文句を言わずに着いて来ることを許す風間に、不信感も警戒心も解いたつもりはない。
「仙台にある、仙台城に向かって歩いている。どうやらこの羅刹隊は、今仙台城を拠点として動いているようだ」
「どうしてそんなことがわかる?」
「仙台城に鬼の気配が無数にする。近付けば近付くほど、その濃度は増す。そこに必ず志摩子もいるはずだ」
「確信はあるというのか?」
「ある。貴様らが人間と一緒にするな。俺なら志摩子の居場所など、見つけ出すなど造作もない」
「どうして、俺達を連れていく?」
「……仙台城で、全ての決着をつける」
風間は斎藤へと向き直り、真っ直ぐと赤い瞳で見据える。