第26章 命
「総司様、そろそろご説明をお願い出来ませんか?」
「……そうだね。僕はね、新選組の中でも気配を探るのが上手い方でね。妙な気配を感じて……ずっと眠れないでいた。一度感じたことのある殺気が門の方で感じた、だからこれはきっと例の鬼じゃないかと思った」
「けれど、総司様のお体では……とても刀など」
「君一人守るくらいの力は、あるつもりだよ。今のところは」
「本当に、鬼が来たんでしょうか」
「気配は四つ。風間達で間違いなさそうだね」
「一体何を為しに来たのでしょうか」
「一つわかっていることは、その気配の一つは、残り三つとは行動尾共にしてはいないらしい」
小屋の外の方で、足音が聞こえてくる。咄嗟に沖田は志摩子を庇うような形で前に出て、刀に手をかけて気配を探る。
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
少年の声が聞こえてくる。
「姉様、迎えに来たよ。一緒に行きましょう……もうすぐ京の都は戦の海に呑まれるでしょう。この場を離れるなら今です」
沖田の瞳がかっと見開かれると、志摩子を連れて突然小屋を飛び出した。同時に、少年の武器が小屋を半壊させてしまった。あまりに人離れしすぎている力に、沖田は驚愕する。
「志摩子ちゃん、あれは……何っ! 知り合い!?」
「私の弟……蓮水天です」
「あっそう。てことはえっと、鬼なのかな?」
「そうです……っ」
小屋を半壊されてしまったせいで、月明かりの下……天へと姿を晒すこととなる。天は愛用の薙刀を構え、つまらなそうに沖田を見た。