第1章 (色々な意味で)めげるな!祝え!
「ちょっと待ってくれ・・・。
君は作ったお菓子をどうするつもりでいたんだ?」
蟀谷に手を当てながら尋ねてくるエルヴィンに、
ナナシが「リヴァイの誕生日祝いとしてケーキとクッキーを上げる為だ」
と告げた瞬間、彼は憤怒の形相になってナナシの肩を掴んだ。
息が掛かるくらいの距離で怒りに濡れた蒼眼を見たナナシは、
何だかよくわからないがエルヴィンの機嫌が相当悪くなった事を悟る。
「何故だっ!?
何故君がリヴァイの為にケーキを作らなければならない!
この私を差し置いてっ!」
「今日はリヴァイの誕生日なんだから大目に見てくれ!
お主の時もマロンケーキを作ってやっただろう?
それと同じ事をして何がいけないんだ!?」
「他の男に恋人が寝取られた気分になるんだ!」
たかがお菓子一つで何をそこまで・・・と
ナナシは絶対零度の視線を送った。
エルヴィンの言っている事は
いつもよくわからなくて困惑してばかりだが、
今回のはもう良い加減にしろ!と怒鳴りつけたくなる。
「駄々を捏ねるな。今回は諦めろ」
「・・・まさかっ!一口も貰えないなんて事は・・・」
「茶葉も少ないから、そうなるな」
そう言った瞬間、エルヴィンは絶望したという表情をして
ナナシに縋り付き駄々が悪化した。