第1章 (色々な意味で)めげるな!祝え!
それからリヴァイへ何をプレゼントするかナナシは悩んだ。
リヴァイが貰って嬉しい物と言えば紅茶と掃除道具だろうが、
それらはきっと他の人間がプレゼントしているだろう。
悩んだ挙句ナナシは自室に戻って手持ちの荷物を漁り、
必要な物がある事を確認するとエルヴィンの下へ向かった。
仕事とお茶の時間以外は滅多にやってこないナナシの来訪を、
エルヴィンは文字通り諸手を上げて喜び執務室内に招き入れた。
書類仕事をしていたはずなのにナナシの手を取って
一緒にソファへと座り、至近距離で熱視線を送る。
「で?どうしたんだ?
もしかしてやっと私の気持ちに答えてくれる気になったのかな?」
綺麗に微笑むエルヴィンに若干冷たい視線を向けたナナシは、
握られていた手を強引に離すと本題に入った。
「実は頼みたい事があってな・・・」
「何だい?君から頼み事なんて珍しいじゃないか」
強引に離したはずの手がまたエルヴィンによって捕らえられ、
ナナシは自分の手を犠牲に話を進める事にした。
「厨房の使用許可を貰いたいのだが・・・」
「厨房?」
キョトンとした様子で首を傾げるエルヴィンには
厨房で何をするか伝えておかねばならないだろう。
一応、ここの団長様だ。
大体こういう組織ではトップの許可が必要だから、
使用目的も伝えておかねばならないだろう。