第1章 (色々な意味で)めげるな!祝え!
「一応貰っておくが使用はしねぇぞ。
どんな副作用があるかわかったもんじゃねぇからな」
「失礼だな~。ちゃんとどんな副作用が起こるか実験済みだから
安心して使ってよ~」
アハハと笑うハンジにリヴァイは殺気の籠もった目を向けた。
「あぁ?副作用があるもんを寄越しやがったのか、てめぇ。
良い度胸してんじゃねえか」
「ちょっ!別に命に別状は無いから大丈夫だって!」
「信用ならねぇ・・・どんな副作用か吐け!」
項を削ぎそうな勢いでリヴァイがハンジに詰め寄ると、
彼女は何の悪びれも無く
「ちょっと性欲が増して勃起が収まらなくなるだけだよ」と笑った。
それを聞いたリヴァイは顔に絶望線を浮かべて、
ハンジを見据える。
命に別状は無くともプライド的には致命的になりそうな副作用だ。
「モブリットの飲み物にこっそり仕込んでみたら、
半日くらいトイレに篭っていたかな?だから大丈夫!」
グッと拳に力を込め熱弁するハンジを尻目に
リヴァイは静かに小箱をハンジの下にスライドさせた。
――それは全然大丈夫じゃないって事だっ!このクソメガネ!
モブリットで試しやがったのかっ!?
絶対使わねぇぞ!この奇行種!!
リヴァイは食器を乗せたトレイを持つと
足早に去って行ってしまった。
ハンジはリヴァイが理解出来ないと言わんばかりに
首を傾げて、向かいに座っていたナナシに尋ねる。
「ねぇ、何でリヴァイは受け取ってくれなかったんだろ?」
誂っている訳でもなく純粋にそう聞かれ、
ナナシは目を泳がせる。
そりゃあ、胡散臭いものなんか使いたくないだろう。
これを言ってしまったらハンジが可哀想なので、
ナナシは「さぁな」と曖昧に言葉を濁すしかなかった。