第1章 (色々な意味で)めげるな!祝え!
苦楽を共にし、
死線を潜った者同士にしか立ち入れない空気の中、
ナナシは少し居た堪れない気持ちになる。
ハンジでさえプレゼントを用意しているのに、
自分は何も用意していないのだ。
別に必ず贈り物をしなければならないという決まりは無いが、
一応ナナシも一緒に生活しているのだし
何も贈らないというのは性に合わない。
今から街に出ても何を買えば良いのか迷って、
無駄に時間が過ぎてしまいそうだ。
悶々としているナナシを尻目にリヴァイとハンジは
軽快な会話をしている。
「ところでハンジよ・・・。こいつの中身は何だ?」
「ふふ~ん!ハンジさんお手製の栄養ドリンクだよ!
それを飲めば一晩で日頃の疲れが・・・」
「返す。気持ちだけ有難く貰っておこう」
「ええ~!?何その態度!プレゼントした物を突っ返す時点で
全然有難く思ってないよねっ!?」
「・・・・・・・・・・・」
珍しくハンジの言うことは正論だ。
だが、リヴァイがハンジの作ったという
得体の知れない栄養ドリンクを突き返す気持ちもわかってしまう。
はっきり言って、胡散臭い。
リヴァイは逡巡した後「わかった」と若干暗い表情で言った。